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2020-02-26

楽天市場送料込み(無料)ライン統一について解説

2020年3月更新 youtubeにも投稿してみました。

2020年1月22日に新聞、テレビで報道されたため多くの方に知られることとなった、いわゆる「楽天送料無料ライン問題」ですが、 問題を提起した「楽天ユニオン」側の言い分に偏った報道が行われており、世論も楽天に批判的と感じます。

楽天のネット通販サイト「楽天市場」を巡り、波紋が広がっている。一部出店者による任意団体「楽天ユニオン」は22日、公正取引委員会に楽天の規約変更が独占禁止法に抵触するとして、調査を求めた。引き金は3月中旬に始める予定の一定の購入額での「送料無料化」だ。楽天は消費者ニーズへの対応を掲げるが、ユニオンは「店舗への一方的な負担増だ」として対立。公取委の今後の判断が焦点になる。
楽天は3月18日から、消費者が楽天市場で3980円以上を購入した場合(沖縄や離島などを除く)、サイトの表示を一律で「送料無料」に変更する方針だ。

日本掲載新聞 2020/1/22 17:15  配信より


一方の意見だけが強く発信されている現状は不健全と思いますので、楽天市場への出店歴が今年で10年になる私が、この問題を解説したいと思います。

解説については、私見のため事実と異なる場合があります。
ご理解の上でお読みください。

先に私の考えを述べておきますが、送料込みライン統一に積極的ではないが条件付きで賛成です。
楽天ユニオンについては、代表者がすでに楽天市場から退店している事、匿名の署名でも5,000名程度しか集まっていない事から出展者の意見を反映しているとは考えていません。

一定価格購入で送料込み(無料)の導入経緯

2019年1月30日に行われた「楽天新春カンファレンス2019」で、三木谷社長が基調講演で語った「ワンデリバリー構想」と「送料の全店舗統一」により導入が発表されました。

送料無料の統一金額を導入する理由は、下記のような事が考えられます。

・スマートフォン経由の購入が70%を超えるようになり、モニタが小型化したことで画面から得られる情報が減り、店舗ごとに違う送料ルールを購入者が把握し難くなったこと。
・amazon(FBA利用分)やzozoは自社倉庫で発送を管理しており、購入者が送料無料ラインや納期情報を把握しやすく、納期情報がわかりにくい楽天の販売方法は時代遅れになっている。
・商品の販売価格を安く設定して検索上位表示を狙い、送料を相場より高く設定して販売する不公正な店舗を排除するため。


この導入発表から、楽天は物流(楽天スーパーロジスティクス)に2000億円の投資を行っています。
amazonに比べると投資規模が小さく、決断が遅すぎるきらいがありますが、少子高齢化で労働人口が減り続ける日本では、今後も宅配クライシス問題が再燃する可能性が高いです。
物流の効率化と最適化への投資は、今後のEC市場の成長に欠かせないため、プラットフォーマーとして楽天の責務と捉えているのではないでしょうか。
ZOZOという物流システムを手に入れたyahooやフルフィルメントで先行するamazonと戦っていくためには、この投資はギリギリのタイミングと思います。

ワンデリバリー構想とは

ワンデリバリー構想とは、最終的には楽天が出店(出品)者の荷物を預かり、楽天が物流を一元管理して、お客様にできる限り一度の配達で受け取ってもらえる仕組みづくりです。
amazonのFBAサービスやZOZOTOWNのZOZOBASEのように、プラットフォーマーが商品を管理して、発送業務を一元管理する仕組みを作りたいという内容です。
amazonやZOZOと違うのは、物流センターまで運ぶコストも将来的には楽天が負担する仕組みを作ると発表しているところです。

※物流センターまでの配送コストをプラットフォーマーが負担する仕組みは、2017年にamazonが実験導入しましたが、2017年限りで終了しました。

楽天スーパーロジスティクス(RSL)とは

2020年1月現在で、千葉県に4か所、大阪府に1か所、兵庫県に一か所の合計6拠点で稼働している楽天が運営しているロジスティクス倉庫です。
2020年中に千葉と神奈川に各一拠点稼働予定です。

類似サービスとしては、アマゾンジャパン合同会社が提供するフルフィルメントby AMAZON (FBA)があります。
※FBAは、発送作業以外にも購入者からの問い合わせや返品対応を含めたカスタマーサービスをamazonが行うため、amazonで売れた在庫については出品者はなにも行わなくても注文処理が完了します。そのため、現時点ではFBAとRSLは比較対象にはなりません。

楽天としての理想形は、出品者からRSLに商品を預けてもらい、amazonやzozoのように受注、決済、ピッキング(梱包)、宅配(カスタマーサービス込み)の流れを一元管理する事と思われます。
※ クール便対応が必要なチルド商品、宅配便で発送できない大型家具、税制の関係で倉庫の移動が難しい酒類を除く

※ここまで、楽天株式会社 2018年7月17日プレスリリース参照

そもそも送料無料ライン導入反対が多数派なのか?

新聞やテレビの報道では、楽天出店者の大多数が反対のような報道が行われていますが、出店者間での温度差は大きいと感じます。
反対派が圧倒的多数派というわけでなく、私も条件付きの賛成派です。

送料無料化反対ではない店もそれなりにいるはず

賛成ではなく「反対ではない店」と表現するのには理由があります。

楽天には、年間優秀店を表彰するショップオブザイヤーという賞があります。

ショップ・オブ・ザ・イヤーとは、お客様による投票数、2019年度の売上、売上の成長率、 注文件数、お客様対応などから年間のベストショップが選ばれる楽天市場の表彰制度です。 4万店以上のショップの中から最も秀でたショップに授与されます。楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2019公式サイト


2019年の上位入賞が下記の店舗です。

A-PRICE楽天市場店 5,000円以上で送料無料(沖縄県、一部離島除く)
くらしのeショップ 全品送料無料(沖縄県、一部離島除く)
アルペン楽天市場店 5,500円以上で送料無料(北海道、沖縄県、一部離島除く)
サプリ専門SHOP シードコムス 全品送料無料(宅配便希望の場合条件付き有料)
アースコンタクト  送料550円 ただし9割以上の商品が送料無料設定
アンド ハビット  5,400円以上で送料無料  ただし一部クリームやヘアスプレー以外は送料無料設定
THINK RICH STORE 全国送料無料
タオル直販店 ヒオリエ/日織恵  5,500円以上で全国送料無料
アットコンタクト  10,000円以上で送料無料(沖縄県、一部離島除く)ただし大半の売れ筋商品は送料無料設定
サンドラッグe-shop  3,122円以上で全国送料無料

10,000円以上で送料無料のアットコンタクトさんあたりは、3,980円で無料になると厳しく見えますが、実際は売れ筋所品の大半は送料無料設定になっていますので商品構成をすこし変えるだけで対応できそうです。
そもそもコンタクトレンズはサイズが小さいので送料負担が大きくないと思われます。

この中で対応に一番苦労しそうなのは、北海道の送料設定が高いアルペン楽天市場店さんかもしれません。

そもそも売れているお店にとっては、3,980円で送料無料はそこまで高いハードルではないので、楽天としては一部店舗が反対しているという表現になったと思われます。

反対ではないお店まとめ

・トップセラーは対応完了しているので、積極的に反対を行わない。
・対応できないライバルが退店する可能性もあるので、対応できるお店は賛成な場合がある。

もちろん積極的に反対の店舗もいます。

今回の送料ルール改定を反対するお店は、下記のようなお店が多いと思われます。

・地方のお菓子屋さんなど
例として、九州の焼き菓子がメインのお店は、北海道までの運賃コストを吸収できないと思われます。賞味期限が短いため楽天が推奨しているスーパーロジも利用が出来ません。

・クール便と常温便の両方を取り扱っているお店。
販売商品で送料ライン対象商品と対象外になる商品が混在することになるため、購入者にとっては分かりにくい店になってしまう。

・楽天スーパーロジを使いたくないお店。
全国に安く発送してくれる楽天スーパーロジですが、そもそも運賃コストが高くない関東のお店はメリットがありません。このようなお店は北海道、離島、九州への荷物だけを安く送りたいのですが、該当エリアへの荷物だけをスーパーロジに預けるのは管理コストが上がるので困るという問題があります。
また、楽天スーパーロジ導入のために、外部受注システムの導入が必須となり、新たな経費が発生する事を嫌うお店もいらっしゃるようです。

※スーパーロジについて説明すると凄まじく長くなるので、機会があれば別でまとめます。

今回の件で、楽天が他に選択出来た方針

今回、楽天市場は全店舗が同一の送料込み(無料)ラインを設定する事を選びました。
私は、将来的に楽天スーパーロジを利用したアマゾンのようなフルフィルメントサービスを行うための布石と思っています。
楽天は、全店舗で一緒に目指す場所に進む道を選んだため、その場所を望まない人達の反発を受けました。

実は、2019年にyahooショッピングが同じような決断をしましたが、yahooが選んだ上位店だけでその道を目指しています。
その道がpaypayモールです。

売り上げ上位店を選別した新モールの立ち上げ

yahooショッピングは、2013年に「eコマース革命宣言」を行い、出店料無料、ロイヤリティ無料でECを活性化するという施策を行いました。
この施策ですが、私は事実上失敗と思っています。
無料化により出店者数は爆発的に増えましたが、無料だからとりあえず出店、無責任な販売者の増加など、無料にしたことでリテラシーの低い出品者が増えて、モールの信頼度が大きく下がりました。
この反省から、売り上げが大きく、店舗評価が高いお店だけを集めた paypayモールを2019年にオープンさせています。
このpaypayモールにyahoo傘下になったZOZOTOWNも出店します。
ZOZOは物流のノウハウも持っているため、paypayモール参加店にZOZOBASEを開放して、物流支援も行っていくと思われます。

yahooは、お店を選別して時代に合ったモールに再構築していく方針と考えられます。

三木谷社長は、 新春カンファレンスの基調講演で、 中国の 淘宝(タオバオ) が優良店を選別して作ったTmall(天猫)のような事をやりたくないと paypayモール批判ともとれる発言を行いました。
楽天は多様性×統一性で成長していくと、明確にpaypayモールを否定しました。

プライムマークのようなバッチ付与

amazonのヘビーユーザーがamazonを評価しているポイントとして、プライムマークの安心感があると思います。
私もamazonで販売していますが、プライムマークがないと売り上げ半減です。
そもそも、プライムのバッチがない商品は、amazonユーザーの検索対象から外されてしまうからです。
楽天も、送料ラインを導入できるお店にプライムマークのようなバッチを与えて、差別化する道があったはずです。
私は、このバッチ制度の導入を最も望んでいます。
送料ラインの導入または単品で送料無料、」翌日配達の対応など、バッチの有無で検索できれば、購入者にとっても非常に買いやすいモールになるのではないでしょうか。

まとめ

今回の批判は、三木谷社長の言葉が強すぎた所でしょうか。
良くとらえれば、店舗の切り捨てを行わず、全店で向上していきましょうというメッセージ。
悪くとらえれば、出店者の立場を考えない強引な施策。
楽天は出店者が多いため、様々な立場があり満点の答えを出すことは無理と思います。

私は、カンファレンス会場でリアルタイム視聴したので、切り取られた報道とは違う印象を受けました。
youtubeに動画がありますので、興味を持たれた方は一度視聴する事をお勧めします。


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